私が鼻へのシリコン使用を好まない理由 #4(鼻プロテーゼ抜去/鼻の修正手術/斜鼻)

シリコンプロテーゼは現在もアジア圏はもちろん、
世界的に鼻背を高くするために最も多く使われている材料です。
「鼻整形」といえば「シリコン」を思い浮かべるほど、直接的に結びついています。
特にアジアでは、医師も患者様も「鼻整形」をするときには
当然のようにシリコンを使うものと認識されているのをよく目にします。
これは鼻整形において非常に不適切で、危険でさえある考え方です。
たとえばワシ鼻(ハンプ)修正手術や斜鼻手術のように、鼻筋を高くすることが目的ではない
鼻整形でもシリコンを使用された患者様を多く見かけます。
こうした患者様が修正手術のご相談に来られて診察してみると、シリコンが鼻の形と機能に
まったく役に立たず、むしろ副作用を引き起こしていたケースを多く見ます。
実のところ、長年鼻の修正手術を行う中でシリコンや人工物による副作用を数多く見てきたため、
いつかこれについて体系的にまとめて発表したいという思いがありました。
そこで今日は「私が(鼻整形をするとき)鼻へのシリコン使用を好まない理由!」というタイトルで、
それぞれの副作用についての症例研究を用意しました。

鼻整形後、シリコンプロテーゼによって現れる副作用
- 1. 物理的な圧迫により、鼻先の皮膚や鼻の中の粘膜からシリコンが突き出てくる場合
- 2. シリコンまたは併用した人工物による急性・慢性の炎症
- 3. 被膜形成と炎症による拘縮
- 4. 矯正手術後もシリコンが繰り返し曲がってしまう場合
- 5. 鼻先まで入っているシリコンにより鼻尖軟骨が変形した場合
- 6. シリコンに石灰質が沈着し、鼻背がでこぼこに突出した場合
- 7. 鼻背の皮膚が薄くなって赤く変化し、シリコンが透ける場合
- 8. 鼻背(シリコン被膜の内部)に繰り返し血腫がたまる場合
シリコンプロテーゼで鼻整形をした後に副作用が現れる確率は、発表された
論文によって少しずつ異なりますが、4~36%とやや幅があります。
その理由は、副作用を診断した時期がいつかによって差が出るためです。
副作用のうち最も多いのが拘縮(34.8%)、プロテーゼの曲がり(30.1%)、
炎症(10.1%)、皮膚が薄くなる(19.9%)、穿孔による突出(5%)などです。
この症例研究は全8回のシリーズで続きますので、ぜひご覧ください。

シリコンが矯正手術後も繰り返し
曲がってしまう場合(Shifted Silicone Implant)
こうした患者様のなかには、曲がったシリコンを正すために
シリコンだけを中央に移動させればよいという説明を受けて、
繰り返し手術を受けた方もかなり多く見てきました。
しかし、シリコンはほどなく再び曲がり、次第に拘縮まで進むケースも多くあります。
シリコンを包んでいる被膜を破って新しいスペースを作り、
シリコンを正中に置いても、もとの被膜があるスペースへ再び
滑っていってしまうためです。
被膜を除去してスペースを広く作ると、シリコンよりスペースのほうが広くなるため、
シリコンが動きやすく、移動しやすくなります。
このように一度曲がったシリコンは、シリコンだけを動かして中央に合わせることはほぼ不可能なため、
抜去するか、シリコンと被膜を除去したうえで同種真皮に置き換える必要があります。

PH
40代女性。6年前に他院でシリコンプロテーゼによる隆鼻術を受けた後、鼻が曲がり、
6か月後にプロテーゼだけを動かしてまっすぐにする手術を一度受けましたが、再び曲がりました。
P/E
鼻背、鼻先、鼻柱のすべてが曲がっています。
OP
オープン法で切開してシリコンと被膜を除去し、コルメラストラットを立て直して、曲がった
鼻尖軟骨をまっすぐに伸ばし、鼻背には同種真皮を鼻先の上までにとどまるように入れました。

曲がっていた鼻がまっすぐになり、鼻筋の高さと形が自然できれいになりました。

鼻先が自然になりました。

PH
30代女性。7年前に他院でシリコンと耳介軟骨による隆鼻術を受けました。
その後、鼻背と鼻先が曲がって一度修正を受けましたが、依然として曲がりが残っています。
P/E
鼻先まで達している「L」型シリコンが左に偏っており、鼻先と鼻柱も曲がっています。
鼻孔の高さと形も非対称です。
鼻先まで達しているシリコンの上に耳介軟骨が載せられています。
OP
クローズ法でシリコン、被膜、鼻先の耳介軟骨を除去し、
鼻尖軟骨をまっすぐに立て直す再配置を行いました。

鼻が全体的にまっすぐになり、鼻の高さと形も自然に改善しました。

傾いていた鼻柱と鼻先がまっすぐに落ち着きました。
このように鼻先と鼻柱の変形がひどくない場合には、クローズ法で
鼻尖軟骨再配置を行っても矯正が可能です。

大きすぎて長く見えていた鼻が、自然ですっと高い鼻に変わりました。


PH
30代女性。10年前に他院でオープン法により、鼻中隔軟骨を用いたコルメラストラットと、
シリコンによる隆鼻術を受けました。
鼻柱に何かが突き出てきたため、7年前にクローズ法で修正を受けましたが、依然として突き出ています。
P/E
鼻背のシリコン、鼻先、鼻柱が曲がっています。
鼻が短くなっています。(拘縮の初期)
OP
クローズ法でシリコン、被膜、支柱を除去した後、鼻尖軟骨再配置を行いました。
被膜は非常に厚くなっていました。

手術前は鼻背と鼻先が傾き、シリコンの輪郭がはっきりと浮き出ていましたが、
鼻背と鼻先がともにまっすぐになり、自然です。
手術後は、正面から見た鼻孔もかなり隠れました。

鼻先と鼻柱がはっきりとまっすぐになりました。

上を向いていた鼻先が降りて鼻が長くなり、鼻筋がすっと通った様子です。

抜去前は拘縮によって鼻先が上を向いていましたが、抜去後は鼻先がかなり降りてきて、
鼻の長さが伸び、鼻筋もまっすぐにすっと通っています。
鼻唇角が10度以上小さくなり、鼻先はよりすっと高く見えます。
これは、上に引き上げられた鼻尖軟骨を剥離して本来の位置に戻す軟骨の再配置によるもので、
鼻先の形が見違えるほど改善しました。

抜去手術後は鼻先の動きがとてもよくなり、「豚鼻」をはじめ、
ほとんどすべての動きができるようになりました。