私が鼻のシリコンプロテーゼ使用を好まない理由 #5(鼻整形の副作用/鼻シリコン抜去/鼻プロテーゼ抜去)

シリコンプロテーゼは現在もアジア圏はもちろん、
世界的に鼻背を高くするために最も多く使われている材料です。
「鼻整形」といえば「シリコン」を思い浮かべるほど、直接的に結びついています。
特にアジアでは、医師も患者様も「鼻整形」をするときには
当然のようにシリコンを使うものと認識されているのをよく目にします。
これは鼻整形において非常に不適切で、危険でさえある考え方です。
たとえばワシ鼻(ハンプ)修正手術や斜鼻手術のように、鼻筋を高くすることが目的ではない
鼻整形でもシリコンを使用された患者様を多く見かけます。
こうした患者様が修正手術のご相談に来られて診察してみると、シリコンが鼻の形と機能に
まったく役に立たず、むしろ副作用を引き起こしていたケースを多く見ます。
実のところ、長年鼻の修正手術を行う中でシリコンや人工物による副作用を数多く見てきたため、
いつかこれについて体系的にまとめて発表したいという思いがありました。
そこで今日は「私が(鼻整形をするとき)鼻へのシリコン使用を好まない理由!」というタイトルで、
それぞれの副作用についての症例研究を用意しました。

鼻整形後、シリコンプロテーゼによって現れる副作用
1. 物理的な圧迫により、鼻先の皮膚や鼻の中の粘膜からシリコンが突き出てくる場合
2. シリコンまたは併用した人工物による急性・慢性の炎症
3. 被膜形成と炎症による拘縮
4. 修正手術後もシリコンが繰り返し曲がる場合
5. 鼻先まで入っているシリコンによって鼻尖軟骨が変形した場合
6. シリコンに石灰質が沈着し、鼻背がでこぼこに突出した場合
7. 鼻背の皮膚が薄くなって赤く変化し、シリコンが透ける場合
8. 鼻背(シリコン被膜の内部)に繰り返し血腫がたまる場合
シリコンプロテーゼで鼻整形をした後に副作用が現れる確率は、発表された
論文によって少しずつ異なりますが、4~36%とやや幅があります。
その理由は、副作用を診断した時期がいつかによって差が出るためです。
副作用のうち最も多いのが拘縮(34.8%)、プロテーゼの曲がり(30.1%)、
炎症(10.1%)、皮膚が薄くなる(19.9%)、穿孔による突出(5%)などです。
この症例研究は全8回のシリーズで続きますので、ぜひご覧ください。

鼻先まで入っているシリコンによって
鼻尖軟骨が変形した場合(Tip Deformity)
シリコンプロテーゼで隆鼻術を受けた後、シリコンが片側に偏り、
鼻先と鼻柱まで曲がってしまうケースをよく見かけますが、
修正手術や抜去手術を行う際には、曲がった鼻筋だけでなく、
曲がった鼻先と鼻柱もまっすぐに立て直すことが重要です。
シリコンが長く鼻先まで達して、鼻尖軟骨を片側に押しやることで
鼻先と鼻柱が曲がっているため、多くの場合はオープン法で切開し、
コルメラストラットを入れて鼻柱をまっすぐに立てるのが確実です。
一方、鼻先と鼻柱の曲がりがひどくない場合には、クローズ法で切開した後、
シリコンプロテーゼと鼻先に載せてある軟骨移植を除去し、
ずれている鼻尖軟骨を中央に再配置することで、まっすぐで自然に矯正できます。

PH
20代女性。8年前にシリコンで単純な隆鼻術を受けました。
P/E
鼻柱が曲がり、鼻柱軟骨が折れ曲がって右の鼻の中に突き出ています。
OP
鼻の中の切開からシリコンと被膜を除去しながら、
同時に、右の鼻の中で折れ曲がって突き出ていた鼻柱軟骨を互いに縫い合わせて伸ばしました。


PH
1年前に他院でシリコンプロテーゼ、鼻中隔延長術などによる鼻整形を受けました。
美容面での不満とシリコンへの不安から、抜去と鼻尖軟骨再配置を希望されました。
P/E
右の鼻の中、鼻翼の天井部分に何かが突き出ています。
鼻翼軟骨が折れ曲がって突き出ています。
OP
シリコン、被膜、鼻中隔延長移植を除去。鼻翼軟骨を伸ばす複合再配置を行いました。
=> 右の鼻腔内に突き出ていた鼻翼軟骨が伸びて、なめらかになりました。

右の鼻腔内にあった鼻翼軟骨の折れ曲がりによる突出が、きれいになくなりました。


PH
20代女性。10年前にシリコンと耳介軟骨で手術を受けたことだけを覚えていました。
CC
1年に一、二度、鼻背がつっぱって異物感があり、
鼻先に移植された軟骨が皮膚の表面に透けて、輪郭が浮き出ています。
鼻先が左に偏り、鼻孔と鼻柱が傾いて非対称になっている。
P/E
鼻背が広く厚く、眉間が高いため直線的な鼻背のラインになっており、
鼻先と鼻柱が左に傾いています。
OP
鼻の中を切開した後、シリコンと被膜を除去し、
同時に、傾いた鼻尖軟骨をまっすぐに戻す複合再配置を行いました。

直線的な鼻背のラインで、眉間が高すぎるため、強く人工的な印象です。
抜去した「L」型シリコンと被膜、鼻先に載せられていた耳介軟骨です。

手術前は厚く曲がっていた鼻背が、まっすぐですっきりとしました。
左に寄っていた鼻先と、その上に透けていた軟骨移植がなくなり、自然でまっすぐになりました。

傾いていた鼻柱と鼻孔、そして鼻先がすべてまっすぐになりました。
手術後、鼻柱に手術の跡がないことが、クローズ法で行ったことを示しています。

眉間が高すぎ、直線的で長く見えていた鼻背のラインが、自然でやわらかな印象に変わりました。

抜去後、鼻先がやや下に降り、鼻背のラインが自然になりました。