私が鼻へのシリコン使用を好まない理由 #6(鼻整形の副作用/鼻シリコン抜去/鼻プロテーゼ抜去)

シリコンプロテーゼは現在もアジア圏はもちろん、
世界的に鼻背を高くするために最も多く使われている材料です。
「鼻整形」といえば「シリコン」を思い浮かべるほど、直接的に結びついています。
特にアジアでは、医師も患者様も「鼻整形」をするときには
当然のようにシリコンを使うものと認識されているのをよく目にします。
これは鼻整形において非常に不適切で、危険でさえある考え方です。
たとえばワシ鼻(ハンプ)修正手術や斜鼻手術のように、鼻筋を高くすることが目的ではない
鼻整形でもシリコンを使用された患者様を多く見かけます。
こうした患者様が修正手術のご相談に来られて診察してみると、シリコンが鼻の形と機能に
まったく役に立たず、むしろ副作用を引き起こしていたケースを多く見ます。
実のところ、長年鼻の修正手術を行う中でシリコンや人工物による副作用を数多く見てきたため、
いつかこれについて体系的にまとめて発表したいという思いがありました。
そこで今日は「私が(鼻整形をするとき)鼻へのシリコン使用を好まない理由!」というタイトルで、
それぞれの副作用についての症例研究を用意しました。

鼻整形後、シリコンプロテーゼによって現れる副作用
1. 物理的な圧迫により、鼻先の皮膚や鼻の中の粘膜からシリコンが突き出てくる場合
2. シリコンまたは併用した人工物による急性・慢性の炎症
3. 被膜形成と炎症による拘縮
4. 修正手術後もシリコンが繰り返し曲がる場合
5. 鼻先まで入っているシリコンによって鼻尖軟骨が変形した場合
6. シリコンに石灰質がたまり、鼻背がでこぼこに突き出た場合
7. 鼻背の皮膚が薄くなって赤く変化し、シリコンが透ける場合
8. 鼻背(シリコン被膜の内部)に繰り返し血腫がたまる場合
シリコンプロテーゼで鼻整形をした後に副作用が現れる確率は、発表された
論文によって少しずつ異なりますが、4~36%とやや幅があります。
その理由は、副作用を診断した時期がいつかによって差が出るためです。
副作用のうち最も多いのが拘縮(34.8%)、プロテーゼの曲がり(30.1%)、
炎症(10.1%)、皮膚が薄くなる(19.9%)、穿孔による突出(5%)などです。
この症例研究は全8回のシリーズで続きますので、ぜひご覧ください。

シリコンに石灰質がたまり、鼻背が
でこぼこに突き出た場合(Calcified Silicone)
シリコンプロテーゼは、炎症を伴うか否かにかかわらず石灰化を誘発し、
時間が経つほど石灰化の発生確率は高まり、その面積と大きさも比例して大きくなります。
石灰化が進むにつれて、シリコンは次第に硬くなり、曲がっていきます。
石灰化の程度と拘縮の程度は、必ずしも比例しません。
シリコンで隆鼻術を受けた患者様の50%以上に石灰化が現れ、
そのためシリコンが曲がり、硬くなります。
石灰化が進んだシリコンは表面がでこぼこしているため、
皮膚が非常に薄くなって皮膚に凹凸が現れ、
ときにはこれによって皮膚の穿孔も生じます。
したがって、シリコンの石灰化は副作用の発生確率を大きく高めます。

PH
62歳女性。30年あまり前にシリコンで隆鼻術
P/E
鼻背に硬く鋭いでこぼこが触れます
皮膚が薄くなり、今にも穿孔が起こりそうな状態です
OP
シリコンと被膜を除去

鼻背の凹凸がなくなり、薄かった皮膚も再生して自然に落ち着きました。

鼻先中央の皮膚がくぼんでいた部分も正常になりました。


PH
50代女性。30年前にシリコンで単純な隆鼻術
CC
鼻背の圧迫感、締めつけ、硬さ、凹凸のため抜去を希望
OP
シリコン、被膜、石灰化組織を除去

石灰化によって薄くなっていた鼻背の皮膚は、抜去後にわずかな色素沈着がみられましたが、次第に消えていきます。


PH
50代女性。25年前に鼻の中の切開からシリコンを用いた単純な隆鼻術を受けました
CC
鼻背の圧迫感、締めつけなどのため抜去を希望
P/E
鼻背に凹凸があり、硬い石灰質によって鼻が硬く固定されていました。
OP
鼻の中の切開から、シリコン、被膜、石灰化物などをすべて除去。

わずかな腫れと内出血はありますが、硬く固定されていた鼻がやわらかく、弾力のある状態になりました。

鼻背の凹凸と一直線の鼻による不自然な印象が、きれいで整った姿に変わりました。
