石灰化した鼻シリコンプロテーゼの副作用と抜去手術(鼻プロテーゼ抜去手術 / 鼻の修正手術)

シリコンプロテーゼは、時間が経つほど被膜とプロテーゼのあいだに
石の成分である石灰がたまる石灰化(calcification)が現れます。
石灰化とは、シリコン周囲の慢性的な炎症反応によって硬い石灰物質が蓄積することです。
はじめは触れませんが、次第に厚くなると、小さな砂利が鼻背に入っているかのように
でこぼこと触れるようになり、これを覆っている皮膚は次第に薄くなって、
ひどい場合には皮膚に穴があく穿孔が現れるケースも少なからず見られます。
穿孔が生じると感染が広がり、次第に鼻が上を向く拘縮が進行します。
したがって、でこぼこして硬い凹凸が触れる場合は石灰化を疑い、
早めに、シリコンと被膜を破らずにきれいに除去しなければなりません。

右の鼻の中にふくらんで下がっているものは、鼻尖軟骨が鼻先に載せた耳介軟骨の移植物に押されて折れ曲がったもので、
「鼻尖軟骨の複合再配置」で矯正しました。

55歳女性
PH
30年前にシリコンと耳介軟骨で隆鼻術。(クローズ法)
CC
今年のはじめから、鼻背に何かでこぼこしたものがあります。
P/E
鼻背がでこぼこしています。硬い石のかけらのようなものが触れます。
鼻先が上を向いています。右の鼻の中、鼻柱側に突き出た軟骨が触れます。
OP
オープン法で切開し、被膜の袋が破れないようにきれいに剥離しました。
石灰質がたまったシリコンと被膜、鼻先にある耳介軟骨をすべてきれいに除去。

左側の写真を見ると、被膜が石灰化したシリコンを包んでいる様子がわかり、
鼻先に載せられていた耳介軟骨も一緒に除去しました。
被膜を切り開いてみると、石灰物質がシリコンと被膜のあいだに厚くたまっていました。
被膜の厚さもかなり厚くなっており、
これは拘縮が相当進んだ状態であることを示す証拠といえます。

鼻背にでこぼこした凹凸が触れ、
拘縮が進むにつれてシリコンが次第に上へ上がり、眉間がふくらんでいました。
抜去後4か月の様子で、
いかなる副作用もなく、すっきりとして自然な様子が確認できます。

鼻背がなめらかで自然になった様子が確認できます。

抜去後、鼻背のラインがずっと自然できれいになった様子が見られます。

60歳女性
PH
40年あまり前にシリコンで隆鼻術を受けました。
CC
一か月前に鼻背に水ぶくれができ、自分でつぶした後、膿と血が出続けて痛みがあります。
P/E
鼻背の皮膚に穴があいており、この穴から分泌物が出ています。
右の鼻の中にも穿孔があります。鼻背がでこぼこしており、硬い石灰のかけらが触れます。
OP
クローズ法で被膜と石灰化したシリコンを除去し、あわせて鼻尖軟骨再配置まで行いました。

左側の写真 右の鼻の中の粘膜が穿孔し、シリコンプロテーゼが露出した状態。
右側の写真 石灰化したシリコンと被膜を除去しました。

穴があいていた鼻背の傷は、抜去手術後1か月が経過してよくふさがり、
思ったより傷跡が目立たず、良好な状態です。
2か月目に傷を確認し、くぼんだ部分と傷跡の再生のためにPRP注射を行う予定で、
PRP注射は、感染によって皮膚が壊死してくぼんだ部位の組織の再生を助け、
なめらかでやわらかくする効果があります。
いったん穿孔した状態で来院されて抜去した場合は、くぼんだ傷跡が残り、
皮膚がやわらかく落ち着くまでには、はるかに時間がかかります。

鼻先の高さと形は、よりすっきりとまとまっています。

一か月後にPRP注射を行い、傷跡と凹凸を改善する予定です。

感染組織と石灰化したシリコンをすべて除去し、鼻の中の穿孔した傷も縫合しましたが、
当時は皮膚が薄くなった状態だったものの、治るにつれて鼻の形はそれなりに落ち着き、
時間が経てばより自然になると考えられます。

手術後の側面の様子はとても自然で、後遺症がまったく残っていないことが確認できます。