さまざまな鼻先変形の矯正 #1 上向きの鼻先(アップノーズ, Short nose)

当院の特徴は、鼻の手術を受ける患者様の90%以上が修正手術であるという点です。
そのため患者様はさまざまな問題を抱えて来院されますが、なかでも「鼻先の変形」は鼻整形の領域でも
もっとも難しく、結果を出すのも容易ではない分野です。
その理由は、「鼻先の変形」が
i) その形が非常に多様で、3次元的に変形が現れるため複合的です。
ii) 発生の過程と原因も複合的で、「拘縮」、「繰り返された手術による鼻尖軟骨の損傷と変形」、「炎症」
などが挙げられ、手術が非常に難しく、難易度の高いものとなります。

01 上向きの鼻先(アップノーズ)
02 ねじれた鼻先(Twisted tip)
03 つままれたような鼻先(Pinching tip)
04 三角形の鼻孔(Nostril Notching, Alar retraction)
05 左右非対称の鼻孔(Asymmetric nostril)、曲がった鼻柱
06 外鼻弁の損傷(External valve insufficiency)
ここからは、鼻整形の中でも難しく難易度の高い分野である
「鼻先の変形」について詳しく見ていきます。
この症例研究は全6回のシリーズとして続きますので、ぜひご覧ください。

1. 上向きの鼻先(アップノーズ, Short nose)
<原因>
多くの場合、シリコンプロテーゼを入れて隆鼻術を行った後に、被膜形成、炎症反応、
繰り返された手術による組織損傷などによって現れる「拘縮」が原因で生じます。
そのほか、鼻尖形成の際に鼻尖軟骨を過度に寄せて縫い合わせたり、上に引き上げて固定したりした場合にも現れます。
<解決方法>
鼻中隔延長移植、デローテーション移植、L-strutなどの方法で鼻先を下げます。
<使用する材料>
鼻中隔延長移植 ▶ 鼻中隔軟骨、肋軟骨 | デローテーション移植 ▶ 耳介軟骨 | L-strut ▶ 肋軟骨
上向き(短さ)の程度に応じて各方法の長所・短所を考慮し、患者様の皮膚や
採取できる軟骨の状態などを総合的に考慮して、もっとも適切な手術方法を選ぶ必要があります。

PH
10年前、外部からの衝撃で鼻骨を骨折した後、鼻炎と副鼻腔炎を発症。
その後、他院でシリコンプロテーゼを用いた手術を4回受けた。
CC
鼻先が上を向き、鼻孔が見える。鼻背が厚い。
鼻背が重く、圧迫感と頭痛があります。鼻づまりは左右ともひどい状態です。
P/E
鼻背が厚く、かたまったような様子。鼻が短く上を向いている。鼻孔が上に引き上げられている。
重度の拘縮により鼻先がかなり上を向いていたため、自家肋軟骨で「L-strut」を立てて長さを伸ばし、
鼻先のねじれと変形は「外側脚ストラット移植」で復元しました。

<手術方法>
シリコンと被膜、瘢痕組織を除去します。
右胸の下から第7肋軟骨と軟骨膜を採取します。
自家肋軟骨で「L字型」のフレームを作って鼻の骨格を再建し、希望の長さを
確保しました。鼻先の変形は、肋軟骨を用いた外側脚ストラット移植で復元しました。

手術後一か月の写真では、鼻の長さが十分に伸びて鼻孔が隠れたことが確認できます。
しかし、鼻背が広く厚いため、まだ腫れているように見え、不自然です。
手術後5か月の写真では、鼻背がかなりすっきりして鼻筋が細くなり、鼻の長さもさらに伸びたことがわかります。

手術後5か月が経つと鼻先と鼻背がすっきりし、鼻柱の手術跡もほとんど見えません。
手術前は鼻先が上に引っ張られ、鼻孔が「11」の字のように縦長に伸びていましたが、
手術後5か月には自然になった様子が見られます。

鼻の長さは十分に伸び、すっと通っています。
鼻筋も手術後に少しずつ細くなり、同種真皮で高くした鼻背の高さは、手術後
5か月の写真でもそれほど減っていません。
このように、シリコンと被膜を除去した後に同種真皮で鼻背の高さを補う方法。
皮膚が薄くなった患者様にとって、高さと皮膚の厚みの両方を補えるという利点があります。

手術後、時間の経過とともに鼻の長さはもう少し伸びました。
これは、腫れと瘢痕組織が減って鼻の皮膚に余裕が生まれ、伸びたものと考えられます。
鼻の長さと高さ、角度などが自然になりました。

PH
10年前に他院でシリコンプロテーゼを用いた手術を受けた。
1年前から鼻が上を向いていることに気づくようになった。
CC
鼻先が上を向き、鼻孔が見える。鼻背が厚い。
鼻背が重く、圧迫感と頭痛がある。鼻先が折れ曲がっている。
P/E
鼻背が厚く、シリコンが上に上がったことで鼻先が短くなり上を向いている。鼻先が折れ曲がり、丸く太い。
シリコンによって拘縮が生じ、鼻先が上を向いて変形が現れていたため、シリコンプロテーゼと
被膜、瘢痕組織を除去した後、自家耳介軟骨で「デローテーション移植」と「外側脚ストラット移植」を行って長さを伸ばし、
鼻先の変形を復元しました。

手術後、正面では鼻孔がかなり隠れ、折れ曲がっていた鼻先が伸びて、すっと通った形になりました。

鼻柱もまっすぐになり、バランスが整いました。

鼻の長さが十分に伸び、鼻先の形が自然になったため、
鼻背にはそれ以上プロテーゼを入れませんでしたが、患者様は鼻背の高さにまったく物足りなさを感じないとのことです。

鼻全体がまっすぐに通った形になり、折れ曲がっていた鼻先の形が自然でやわらかくなりました。