あご先の筋肉のたるみ、輪郭形成手術後の副作用(オトガイ筋再固定、オトガイ筋挙上術、オトガイ下垂矯正術)
ptotic chin / chin ptosis

原因
あご先の骨縮小術(Reduction Osseous Genioplasty, Intraoral Osseous Burring)、あご先プロテーゼ抜去
解剖学的機序:あご先の筋肉の転位(Displacement)、たるみ、あご先の脂肪組織の萎縮、被膜拘縮
これは、あご先の骨の輪郭形成手術後に、あご先の軟部組織、とくに筋肉(Mentalis muscle)の
起始部(origin)が離れて(displacement)あご先が下垂する現象をいいます。
治療
糸リフト、筋肉の縫縮、レーザー治療、脂肪吸引、アキュ注射、V-Shurink、ウルセラ --- X
オトガイ筋再固定(Mentalis Resuspension) + あご骨前進術(bony projection) + あご下皮弁術 --- O
あご下のたるみの治療法として、糸リフト、レーザー治療、脂肪吸引、アキュ注射、あご先前進術、V-Shurink、
ウルセラなどをすすめる病院や医師もいますが、ほとんど効果がありません。
その理由は、あご先の下垂(Ptotic Chin)によってふくらんだあご下は、あご先の骨の縮小や後方移動の手術によって
あご下に急に脂肪がたまったのではなく、あご下の長さが短くなって筋肉と軟部組織の緊張が
ゆるんだためです。
したがって解決方法は、患者さまの状態に応じて オトガイ筋再固定(Mentalis Resuspension) +
あご骨前進術(bony projection) + あご下皮弁術を、お一人おひとりに合わせて適切に活用することです。

あご先の輪郭形成手術後にまれではなく見られる副作用のひとつに、「Witch’s Chin」または「あご先の下垂」があります。

特徴1 : あご先が下に垂れ、あご下のしわがはっきりします。(submental crease)

特徴 2 : 唇が下に落ちます。そのため、口を閉じるときに力を入れなければなりません。

特徴 3 : 下の歯が見えます。

特徴 4 : 口を閉じるときに梅干しジワが現れます。

あご先の手術のために口の中を切開するとき、歯ぐきの溝(sulcus)から
上方1cmほどの位置で粘膜とあご先の筋肉を切開したあと
あご先の筋肉を骨から剥離します。
このように剥離したあと、骨の手術が終わると切開部を縫合しますが、
i) 筋肉を切開するとき、起始部(骨)に筋肉をほとんど残さないこと。
ii) 筋肉を多く切除して gap が生じること。
iii) 広範囲に剥離したあと骨の移動(後退)を大きく行うため、あご先の筋肉の
起始部を元の位置に縫合(reapproximation)できなくなり、
あご先の筋肉がまるでゴムひもが切れたようにたるむこと。
ⅳ) あご先の筋肉(Mentalis Muscle)の起始部の転位(移動)。
ⅴ) 下に長く垂れること。
ⅵ) 筋肉の厚みと体積が減ること。
その結果、
1) 粘膜層の下に筋肉の padding がなく、締めつけ感やこわばった感じがあります。
2) 唇が下がり、閉じなくなります。
3) 下の歯が露出します。
4) 起始部が下に移動して sulcus が深くなります。
5) あご先の筋肉が固まったり、梅干しジワが現れたりします。
6) あご下が垂れる witch’s chin などが現れます。

1. 長く突出したあご先の骨を切って短くしたり、後ろに下げたりした場合
(Reduction Osseous Genioplasty)
2. 突出したあご先の骨を口の中の切開から削った場合
(Intraoral Ossepus Burring)
3. 後退したあごを矯正するために口の中の切開からプロテーゼを入れ、その後抜去した場合
(Removal of Chin Implant)
4. あご先の手術を繰り返した場合

首とあご下の角度(Cervico-mental angle)が大きくなり、ふくらみます。

この手術法は、あご先の筋肉と軟部組織を広範囲に剥離することになり、
あご先の突出度が減ることで、あご先の筋肉が全体的にたるみます。
そのため、あご先の筋肉がもっとも頻繁に、大きくたるみ、笑うとあご先のたるみがさらに目立ちます。

予防
あごのたるみを予防する方法としては、後方移動骨切り術と
オトガイ筋再固定(Mentalis Resuspension)をあわせて行うと効果的です。
治療方法
オトガイ筋再固定 + あご骨前進術
*あご先前進術
あご先の骨前進術(Osseous advancement genioplasty)のあとには、
あご下とあご先のたるみはあまり現れません。
理由は、あご下の筋肉や脂肪層などの軟部組織の長さが伸びて、
緊張が高まるため、軟部組織がたるみにくくなるからです。


1. オトガイ筋再固定 (Mentalis Resuspension)
2. あご骨前進術(bony projection)
3. あご下皮弁術
上記3つの方法を、お一人おひとりの状態を綿密に診察し、状態に応じて適切に適用することが
最善の解決方法です。

* あご先の手術後に生じるあご先の下垂(Ptotic Chin)の治療および予防方法の学術的根拠*

骨を切って前方へ移動(jumping osteotomy) + Mentalis Resuspension

あご下のしわが皮弁術でなくなりました。

既往歴
- 13年前 : 「両顎手術」
- 12年前 : 「あご先の逆V字骨切り」
- 10年前 : あご先の脂肪注入1回、フィラー2回
- 3年前 : フェイスリフト
症状
- 下の歯の露出。
- 筋肉のたるみ。
- 長く見える。
- 力を入れないと口が閉じない。
- 重い感じ。
- あご先の非対称。
手術
オトガイ筋挙上術

口を開けたときの歯の露出が完全に解消されました。
あごの長さもかなり短くなり、たるみの対称性もよくなりました。

唇がめくれていた部分も解消され、あご先がとがって垂れていた部分も解消されました。

フェイスラインもなだらかになり、唇も上に上がって楽な様子を見せています。

PH
1. Three years ago, Mandibular body augmentation with prosthesis(Hydroxyapatite of chemical bone) &
zygoma reduction
=> infection, Lt. side mandibular body
=> Irrigation and Antibiotics
2. Two years ago, chin augmentation with silicone implant
=> infection
=> removed 1 month later
3. 1 year ago, scar excision and chin lift operation at other country
Five times of operation for the chin during 3 years,
手術前は、唇が開き、下の歯が露出していることが確認できます。
手術後は、唇が上に上がり、自然な位置になりました。


唇が上を向き、垂れていたあご先と唇が上がりました。
口を閉じたときのあご先の筋肉の収縮がなくなりました。

あご下がまっすぐに伸び、めくれていた下唇が上がったことが確認できます。

手術後はあごに無理がなく、なめらかなフェイスラインになりました。

PH
1回目の手術 : 12年前、後退したあごの矯正のためゴアテックスを挿入。
2回目の手術 : 来院4か月前、人中短縮術 => 口が閉じにくくなった。
3回目の手術 : 来院2か月前、ゴアテックスを8mmのシリコンプロテーゼに入れ替え => 口がさらに閉じにくくなった。
4回目の手術 : 3回目の手術の2週間後(来院2か月半前)、シリコンプロテーゼを5mmに入れ替え。
5回目の手術 : 4回目の手術の2週間後(来院2か月前)、シリコンプロテーゼを抜去。
6回目の手術 : 5回目の手術の7週間後(来院1週間前)、唇フィラー。
(ゴアテックス => シリコン => 小さいシリコンに入れ替え => シリコン抜去)
CC
口が閉じません。どうにかして唇を閉じたいとのことです。食べ物や唾液をよくこぼします。
P/E
あご先と上下の唇の軟部組織がこわばり、ほとんど動きがありません。
Plan
軟部組織がやわらかくなるよう、あごと唇をマッサージしながら待つことにしました。
定期的な点検と診察を行いながら、あご先再建手術の時期を決めることにしました。

手術からまだ1か月しか経っていませんが、あご先の長さが短くなり、
口を閉じるときに力を入れず、楽に閉じられるようになりました。
手術後は、口を閉じるときに力を入れないため、あご先の梅干しジワができないことが確認できます。

唇の力を抜いた状態では、手術前は下の歯がすべて露出していましたが、
オトガイ下垂矯正術後は下の歯が見えず、自然な様子です。

斜めからの様子でもはっきりと対比されています。あごの長さが大きく短くなったことが分かります。

下の歯の露出の程度に明らかな差が見られます。

側面では、手術後、唇の様子が楽で自然になり、
あご先の長さも短くなったことが分かります。